助動詞「らむ」の用法(4/29古初-4)

さて今回の復習は助動詞「らむ」について

助動詞の3要素

このブログでひとつの助動詞をメインに取り上げるのは多分初めてだったと思うので、助動詞の学習を進める上での基本となる要素を確認しておきます。「助動詞の3要素」とはすなわち

  • 活用
  • 意味・
  • 接続

ですね。例えば助動詞「む」であれば

助動詞「む」は四段型活用で、「推量・意志・勧誘・適当・仮定・婉曲」などの意味を持ち、活用語の未然形に接続する。

というふうに理解しておかなければいけませんし、また文中で

秘すれば花なり。秘せざるは花ならず。

とあれば

この「ざる」は打消の助動詞「ず」の連体形で、サ変動詞「秘す」の未然形に接続している。

と、答えられるようにしておかなければならない、ということです。

大学入試で求められる文語助動詞は約30個くらい、そのすべてについて活用・意味・接続を覚えておかなければならない…というと大変そうですし、実際結構大変ではあるのですが。ただある程度工夫をしながら、それぞれの助動詞を関連させて覚えていくことで、多少はその労力を軽減することもできます。

例えば…四段型活用の助動詞は上に挙げた「む(推量)」のほかに「けむ(過去推量」「らむ(現在推量)」の3つのみ。「けむ」「らむ」は「む」から派生したもので、意味的にも重なっていますよね。

また、以前の記事でも書いたように、助動詞の意味と接続にはある程度関係があります(先のことを表現するのは未然形接続・過去や完了の表現は連用形接続…という具合に)。

この辺りを意識しながら、しっかり覚えていきましょう。

 

では、以下「らむ」について

助動詞「らむ」

活用

基本形 未然 連用 終止 連体 已然 命令 活用の型
らむ らま らみ らむ らむ らめ らめ 四段型

薄字で書いた活用形はほぼ用例がなく、多くの場合活用表では空欄になっている部分です。ですので、「らむ」の活用を「○・○・らむ・らむ・らめ・○」というふうにおぼえている人も多いと思うのですが…それではどこが「四段型」なのかわかりにくいですよね。基本的に、一部の特殊な活用をする助動詞以外は、活用表を丸暗記するのでなく「○○型の活用」というところだけ覚えておけばOKです。(そうやってたくさん練習していくうちに、自然に覚えていくとは思いますが)

意味

「らむ」は「眼前にない現在の事実を推量する」表現です。学校文法では、大体以下の4つの用法に分けて考えます。

①現在推量(今頃~だろう)

わが背子はいづく行くらむ/私の愛しい人は今頃どこを通っているだろう

眼前にいない「背子」の現在の様子を推測している形ですね。

②原因推量A(~だからだろう)

冬ながら空より花の降りくるは雲のあなたは春にやあるらむ/冬なのに、空から花びら(のような雪)が降ってくるのは、雲のはるかかなたは春であるからだろうか。

眼前の「冬ながら空より花の降りくる」という光景から、その原因として眼前にない「雲のあなた」の様子を推測しているわけです。

③原因推量B(~のはなぜだろう)

ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ/光ののどかな春の日に、落ち着いた心もなく花が散るのはなぜだろう

②とよく似た形ではありますが、「しづ心なく花の散る」というのは、おそらく歌の詠み手が「眼前」に見ている光景でしょう。そこからはっきり見えないその理由を推測している、と考えます。

④伝聞・婉曲(~ような・~そうだ)

あうむ、いとあはれはり。ひとのいふらむことをまねぶらむよ。/おうむはたいそう趣深い。人の言うようなことを真似るそうだよ。

接続

推量系の助動詞は主に未然形接続のものと終止形接続のもの(比較的確実性が高いもの)がありますが、「らむ」の現在推量の意味に未然形接続はそぐわないでしょう。ですので「らむ」は「終止形接続」の助動詞のグループに入ります

ただし、「終止形接続の助動詞は、ラ変型活用語に対しては連体形接続になる」という鉄則は忘れないようにしましょう。

いづく行く【カ四・終止形】らむ

春にやある【ラ変・連用形】らむ

こういう感じですね

 

蔵書の紹介①-四月は君の嘘・ルドルフとイッパイアッテナ・日本の古典を読む・Newton

さて、今日はうちの教室においてある蔵書の一部を紹介します。教室においてあるので、塾生産はすべて自由に読んでもらって結構ですよ!

 

アフィも貼るからよかったら買ってね…でも紙の本は急がないなら近所の本屋さんで買うのがお勧めだよ!いま街の本屋さんは大変だけど、なくなっちゃったら困るからね!

 

とりあえずはマンガから

四月は君の嘘(新川直司 講談社コミックス月間マガジン)

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「歌合」あれこれ(4/26古上-3)

紀友則の名歌

さて今回は「十訓抄」から

寛平の歌合(うたあはせ)に、初雁(はつかり)を、友則、

春霞かすみていにし雁がねのいまぞ鳴くなる秋霧の上に

と詠める、左方(ひだりかた)にてありけるに、五文字を詠じたりける時、右方(みぎかた)の人々、ことごとく笑ひけり。さて、次の句に、「かすみていにし」と言ひけるにこそ、音もせずなりにけれ。

 

【寛平年間(889-898)に行われた歌合わせの際に、「初雁」の課題を、紀友則が

「春霞とともにはるかかすんで去っていった雁が、今まさに鳴いているようだよ、秋霧の上に」

と読んだ折、(友則は)左方であったのだが、初句(の春霞)を朗詠したとき、右方の人々は、みんな笑った。そうして、二句に「かすみていにし」と(友則が)言ったときには、声も出さなくなってしまったことよ。】

ちょっと解説が必要ですかね、「和歌」においては、季節感が非常に重視されます。季節を外した和歌っていうのは失敗作なわけですね。秋の季節を表す「初雁」という題で和歌を詠まなければならないのに、友則は「春霞~」から詠み始めた。それを聞いた人々は「おいおい季節が違うじゃないか」と思って笑ったわけです。ところが二句の「かすみていにし」の句を聞いて「あっ」っと気づいた。「いに」の「し」は過去の助動詞連体形です。「そうか、『春霞』は過去の話だったのか!そこから『秋』につなげるつもりなのか!!」そう思った人々は早とちりして笑ってしまった自らを恥じて黙ってしまう…という場面です。

なお紀友則は平安時代に活躍した歌人で、「古今和歌集」の選者の一人としても有名ですね。古今集の選者は友則のほかに3人、覚えていますね

→正解はこちらをクリック≪紀貫之・紀友則・凡河内躬恒

本文はこの後「人の話を最後まで聞かないで笑うなんてよくないよね、それにもし他人が本当に間違ったとしても、自分が困るわけでもないのに無理にケチつけてどうすんのよ」というふうに使うわけですけど。

今日はこの文章の舞台となった「歌合」について、少し書いてみましょう

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「大きい政府」と「小さい政府」のこと(4/25現初-3)

さて今回は高校新演習スタンダード現代文Ⅰ第1講の練習問題、村上陽一郎氏の「情報と科学・技術」からの出題です。

ちょっと出典が収録されてる本がわからないんですけど、この辺かなあ

村上陽一郎氏は科学史・科学哲学あたりの学者さんですね。一般向けの著書も多く、大学入試や高校入試でもよくお名前を見る方です。

読解の技法(接続詞・指示語など)については前回説明しましたので、今回は文章内容の説明をメインにしつつ、技法の確認を進めました。

本文に書いて「ない」知識も必要です。という話

正解はすべて本文の中に書いてある」というのは、国語の読解ではよく言われることですけど…これはまあ、ちょっと言葉の綾みたいなところがあるんですよね。例えば次の一文。

掃除をしていたらパソコンのコードに足を引っかけて、電源プラグがコンセントから抜けてしまった。

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升形国語塾の野望―報告と展望―

さて、去る3月19日に升形国語塾を開講して一月ほど経ちました。今日はうちの塾の現状のご報告と今後の展望について、お話ししようと思います。ちょっと生々しいお話も出てきますが、うちとしては出せる情報はどんどん出していきたいと思ってますので、お目汚しはご容赦を。

塾生数

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動詞の活用―活用の種類と識別―(4/22古初-3)

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はるばる東京は府中からどら焼きが届きました!!ありがとうございます。

このどら焼き、府中の「青木屋」というお菓子屋さんの「日々是くろどら」という製品です。東京には有名などら焼きがたくさんあるなか、こちらの品はあまり広く知られている感じではないのですが…絶品、だと思います。皮が独特なんですよ。一般的などら焼きの皮って結構しっかりしているというか、もっちりしてるのが多いんですけど、「くろどら」の皮はふわっと軽いんですよ。ん―食べたことない方に伝わるように表現するにはなかなかむつかしいんですが…「薄皮をかぶった東京ばなな」みたいなものをイメージしていただけるといいんじゃないかと。で、それが黒糖入りでほんの甘い。

んで、そのふわっふわの皮のなかにギチっと詰まってる餡子もいいんです。ふわっとした皮とは対照的に、どっしりとした存在感がありながら、それでいてしつこくない。少しだけ冷蔵庫においてから食べるのも餡子のひんやり感が楽しくておすすめです。

 

こちらのお店、リンク先の通販でも頼めますが…当日製造したものを当日店頭で売ってらっしゃるので、本当はその日のうちに食べるのが一番おいしいんです。お近くに住んでらっしゃる方はぜひ試してみてください。

いやーおいしかった。ごちそうさまでした!!

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感想(2件)

 

さて…

前回は活用形の用法についてお話ししました。今回はそれを踏まえて「動詞の活用の種類及びその識別」についてお話ししましょう。

活用の種類は3+6

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段落ごとに内容を把握する(4/20現中-2)

さて、今回のテーマは「段落ごとの把握」です。

読解のお約束

現代文の授業をするとき、僕が必ず最初に提示する「お約束」が二つありまして…一つ目が「大事なところに線を引きましょう

これは要するに、文章を読んで考えたことを書き残していきましょう。という話なんです。例えば数学(算数)の問題を解くとき、「5-2=3」のように、一目見てすぐにパッと答えがわかるような問題は、入試レベルではあまり出てきませんよね。例えば

「ひろし君は500円持って買い物に行き、ノート2冊と消しゴム3つを買ったところ、残ったお金は90円になりました。ノート1冊の値段は消しゴム2つ分の値段より30円だけ高いそうです。ノート1冊の値段はいくらでしょうか」

とか、そういう感じ。

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関係の補い―「大和物語」より(4/19古上-2)

さて、今回のテキストは「大和物語」から。まずは全文を

 

 

大和の国にをとこ女ありけり。年月かぎりなく思ひてすみけるを、いかがしけむ、女(め)を得てけり。なほも飽(あ)かず、この家に率(ゐ)てきて、壁をへだててすみて、わが方にはさらに寄りこず。「いと憂し」と思へども、さらに言ひも妬まず。秋の夜の長きに、目をさまして聞けば、鹿なむ鳴きける。物も言はで聞きけり。壁をへだてたるをとこ、「聞き給ふや。西こそ」と言ひければ、「何事」と答(いら)へければ、「この鹿の鳴くは聞き給ふや」と言ひければ、「さ聞く」など答へけり。をとこ、「さて、それをばいかが聞き給ふ」と言ひければ、

  われもしかなきてぞ人に恋ひられし今こそよそに声のみを聞け

と詠みたりければ、かぎりなくめでて、この今の妻をば送りて、もとのごとくなむ住みわたりける。

 

順に読みながら、ポイントの説明をしていきましょう。

 

大和の国にをとこ女ありけり。

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接続語の話―実践編(4/18現初-2)

前回は主に接続語についてお話ししましたが、今回はそれを踏まえて、少し長めの文章を読みました。

なおこの授業では主に高校新演習スタンダード 現代文Ⅰという教材を使っています。(塾用の教材なので一般販売はしてません。}

今日はその第一講基本問題、石城謙吉「森林と人間―ある都市近郊林の物語」からの出題です。

 

読解の実践―接続語補充問題の考え方

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