このカテゴリの記事は毎回の授業内容についての記録です。主に受講生を対象とした記事ですが、塾外の方にも雰囲気が伝わればいいなーと思って書いてます。
この授業は「古文上級」ですので、最低限の文法的知識(助詞と助動詞の違い、とか)はあらかじめ身につけているものとして説明を進めます。
助詞の分類
付属語の中でも「助動詞」については結構きちんと覚えている受験生が多いのですが、それに比してちょっとないがしろにされがちなのが「助詞」。付属語(助動詞・助詞)というのはそれほど数が多いわけではないのですが、その分「(ほぼ)完璧な知識」が要求されます。おろそかにしないようにしましょうね。きょうはその大前提となる「助詞の分類」について。
助詞は全部で「3種類」
一般的な学校文語文法において、助詞は「格助詞・接続助詞・副助詞・係助詞・終助詞・間投助詞」の6種類に分けられるのですが、ここでもう一つ上の分類を考えておくと、それぞれの助詞の性質が理解しやすくなります。その分類とは、「格助詞」「接続助詞」「添意助詞」…要するに副助詞以下の4種の助詞を、一旦同じグループにまとめて考えましょう、ということですね。
ではそれぞれのグループについて、簡単な説明を付していきましょう。
格助詞
格助詞は「原則として体言に接続し、それが含まれる文節の文中での役割(=資格)を表示する」という性質を持つ助詞です。以下の例文を見てください。
公園に桜の花が咲いた。
傍線を付した「に」「の」「が」はすべて格助詞です。それぞれ「公園」「桜」「花」という体言に接続しているのがわかりますね。
「に」という格助詞は、ここでは「場所を表す」という役割を示します。「公園に」という文節は「咲いた」という動作を修飾(=連用修飾)し、その「咲いた」という動作が行われた場所を表示する…というわけです。
同様に、ここでの「の」は「連体修飾格」と呼ばれる働きを持ちます。「桜の」は「花が」という体言が含まれる文節を修飾し(=連体修飾)その「花」がどんな花なのか、を説明していますね。
「が」は「主格」です。「花が」という文節が、述語「咲いた」に対する主語であることを示しているのです。
こういうのが「格助詞」です。それぞれの格助詞の働きについてもしっかり覚える必要がありますが…それについての説明は別の機会に譲りましょう。
なお、一般的な文語文に登場する格助詞は「が・の・を・に・へ・と・より・(から)・にて・して」の10語のみです。これはもう呪文のように丸暗記しちゃいましょう。覚えておくと何かと便利ですよ。
接続助詞
接続助詞は「活用語に接続し、前後の関係(順接・逆接・単純接続など)を示す働きがあります。
接続助詞を含む文節は「接続語」としての働きを持ちます。これは言い方を変えれば「おおむね接続詞を用いて二文に書き換えることができる」ということでもあります。
昨日は雨が降ったが、運動会は予定通り行われた。
昨日は雨が降った。しかし、運動会は予定通り行われた。
こういう感じですね。
添意助詞
ここまで見てきた4つの助詞―格助詞・接続助詞―は、基本的に文の構造を決定する、すなわちその語が含まれる文節が文中でどのような働きを持つのか(主語・修飾語・接続語)を決定する働きを持ちます。
それに対し、残る4つの助詞(副助詞・係助詞・終助詞・間投助詞)には、そのような機能はありません。これらの助詞は仮になくても、文の基本構造自体は変わらない、ただそこに、何らかの意味を添えるだけの働きを持つ…ということですね。
部屋の中には君がいた。
部屋の中には君だけがいた。
「だけ」は「限定」の意味を持つ副助詞です。見ての通り、「だけ」があろうがなかろうが、文としての構造はかわりませんね。ただ、上の文に対し、下の文では「限定」の意味が添えられている、という形です。
同じく
これは桜の花だ。
これは桜の花だね。
「ね」は「念押し」を表す終助詞です。これもやはり、上の文と下の文の構造は全く同じ、ただ、意味が添えられているかどうか、という違いです。
副助詞・係助詞・終助詞・間投助詞
というわけで、添意助詞に共通する性質は「文構造には影響を及ぼさず、何らかの意味を添える働きを持つ助詞」ということです。そのような助詞のうち、おもに係り結び構造を作るものが「係助詞」、文末につくものが「終助詞」、文節末につくものが「間投助詞」、その他、一般的な添意助詞を「副助詞」と呼んでいる…というふうに考えるといいでしょう。
以上の内容を踏まえれば、おおむね助詞の識別については問題なく対応できるはずです。入試で「この助詞の種類は何ですか」という形で問われることはそんなにないのですが、分類について正しく理解しておくことが、今後の文法学習においては大きな助けになるでしょう。
その他の内容
上記以外にも昨日の授業では”格助詞「が・の」の性質”、”接続助詞「ば」の働き”、”「に+あり」の構造”、”「坐す(ます・います・まします)」の意味”、”人物関係の省略とその把握”等についてお話ししました。受講者の皆さんは復習しておいてくださいね。塾外の読者の方にも…いずれこのブログ内で書く機会もあるかと思います。それまでお待ちいただくかあるいは…入塾をお待ちしています!